組織の業務プロセスを改善し、効率化を図るために
RPA(Robotic Process Automation)は、ロボットによって業務を自動化できるシステムです。
操作画面上で業務の流れを登録すると、ロボットがその業務を代行してくれるため、繰り返し行う業務に適しています。主にホワイトカラーの事務作業に活用されており、業務効率化や人的ミスの軽減が期待されています。
一方で、RPA導入にはコストやセキュリティ面での課題もあり、慎重な導入が求められるでしょう。
組織の業務プロセスを改善し、効率化を図るためには、RPAの活用が有効ですが、適切な導入計画や教育が欠かせません。
ホワイトカラー業務の自動化
近年、費用対効果が明確であるため、RPAだけでなくAIやIoTの開発が進んでいます。
RPAはAIやIoTに比べ、費用対効果が判断しやすいとされています。企業にとってROIが高いため、RPAが選択されています。
一因として、ブルーカラー業務の自動化による生産性向上が挙げられます。これにより、ホワイトカラー業務の自動化も可能となり、IT技術の発展により、現在は幅広い業務に対応できるようになっています。
ホワイトカラー業務の自動化は、生産性向上や業務効率化に貢献し、企業の競争力強化につながると期待されています。
MM総研のレポート
日本では、「2025年の崖」問題に代表される労働人口の減少など、複数の要因から生産性向上が求められています。
この課題に対する解決策のひとつとして、総務省では自治体の生産性向上や「スマート自治体への転換」を促進するために、RPA(Robotic Process Automation)による作業の自動化を推奨しています。
MM総研のレポートによると、年商50億円以上の企業ではRPAの導入率が45%に達しており、効果が認められています。
一方、年商50億円未満の企業では導入率は12%と低いものの、右肩上がりで伸びており、今後の普及が期待されます。RPAによる作業の自動化は、生産性向上だけでなく、人手不足の解消や業務効率化にも貢献しています。
将来的には、さらなる技術の進化や導入事例の拡大により、様々な業界でのRPA活用が進むことが予想されます。
ExcelやAccessのマクロ機能に限界を感じる場合
ExcelやAccessなどのアプリケーションを使用して業務を効率化する際、よくある疑問として「Excelのマクロとはどう違うのか?」というものがあります。ExcelやAccessにはマクロ機能があり、一定の作業を自動化することが可能です。
しかし、高度な自動化を実現するにはプログラミング言語を理解して実装する必要があります。
一方、RPA(Robotic Process Automation)は、そのような専門知識が不要であり、ExcelやAccessよりも幅広い業務自動化が可能です。
RPAはデータ入力、自動計算、ファイル名の変更、関係者へのメール送信など、多岐にわたる業務を自動化できます。したがって、ExcelやAccessのマクロ機能に限界を感じる場合は、RPAの導入を検討することで業務の効率化や生産性向上が期待できるでしょう。
導入には時間がかかり、専門知識が必要となる場合も
RPA(Robotic Process Automation)は、自動化技術の一つであり、大きく分けてサーバー型とクライアント型(デスクトップ型)の2種類が存在します。
サーバー型のRPAは、サーバーにRPAをインストールして利用する形態であり、端末にインストールするクライアント型と比較すると、サーバーの性能に応じて処理能力が向上するというメリットがあります。
ただし、導入には時間がかかり、専門知識が必要となる場合もあります。一方、クライアント型(デスクトップ型)は、各PC端末にRPAをインストールして利用する形態であり、導入が容易であり、個人や部門など限られた範囲から利用を開始できる利便性があります。
さらに、SaaSはサーバー上にあるソフトウェアから必要な機能を借りて利用するクラウド型のツールであり、RPAとは異なる点があります。RPAはオンプレミス型であり、PCなどにインストールして利用する形態であり、柔軟性が高く広い範囲の業務をカバーすることができます。
一方、SaaSは特定の業務に特化したシステムであり、柔軟性がやや低くなっています。
RPA(Robotic Process Automation)
業務の効率化と品質の向上において、最近注目されているのがRPA(Robotic Process Automation)です。RPAは人間の代わりにルーチン作業を行うソフトウェアロボットであり、その特性から連続で作業を行い、品質を一定に保ちます。
このため、業務の効率化と品質向上を安定して実現することが可能となります。さらに、RPAに業務を任せることで、人間は複雑で高度な業務に集中することができます。
RPAが得意とする業務には、データの登録や加工、数値の確認、通知の送信、データの収集などがあります。これらの業務は繰り返し行われる作業であり、人間が行うとミスや疲労が生じやすいものです。
しかし、RPAは休憩を必要とせず、同じスピードで正確に業務を遂行することができるため、品質向上につながります。
一方で、RPA導入にはコストや運用管理の課題もあります。また、RPAが適している業務とそうでない業務があるため、適切な業務選定が重要です。しかしながらこれらを適切に活用すれば、業務の効率化と品質向上に大きな効果をもたらすことが期待されます。
結果として、RPAは業務の効率化と品質の向上に貢献する一方、適切な導入と管理が求められる技術であると言えます。
RPAは予期しない状況にも対応できる
仕様変更が頻繁に生じる業務や複雑な処理が求められる業務は、RPA(Robotic Process Automation)にとって苦手な業務の一つです。これらの業務は多数のルールや手順があり、完全な自動化が難しいため、工夫が必要です。
RPAは予め定義されたルールに基づいて業務を処理するため、未定義の状況に対応できません。
例えば、顧客名簿の作成業務で全角の住所が入力された場合、RPAは修正できませんが、事前に設定された処理手順によって例外処理が可能です。
適切なシナリオ作成によって、RPAは予期しない状況にも対応できることがポイントです。
株式会社ノーリツ
株式会社ノーリツは給湯機器等の住宅設備機器の製造販売を行う企業で、国内だけでなく海外事業も展開しています。同社ではIT推進部を中心に、効率的に業務を行うため、RPAの導入検討を進めることに。
業務効率化と生産性向上に成功
まずは6つの部署でRPAロボット開発が開始されました。ITについて詳しくない部署でも、IT推進部が作成したひな形を組み合わせることで、簡単にシナリオ作成が可能となりました。
修理業務の損金分析を行うロボットや、週ごとの修理状況分析のためのデータ抽出を行うロボットを開発することで、年間2,000時間以上の工数を削減できました。リモートでも使用できることから、出社制限のある中でも業務の生産性を維持できています。
ノーリツ社は、RPA(Robotic Process Automation)の導入により、業務効率化と生産性向上に成功しています。IT推進部の取り組みにより、部署間での情報共有や作業自動化がスムーズに進んでいます。
例えば、修理業務の損金分析や週次の修理状況分析を行うRPAロボットの開発により、大幅な時間短縮が実現されました。さらに、リモート環境でも利用可能なため、出社制限の影響を受けずに業務を遂行できる点も大きな利点です。
一方で、RPA導入にはセキュリティ面やシステムの適応性など課題も存在します。セキュリティ対策の強化や社員の教育・トレーニングが必要です。また、業務プロセスの変更に対する適応能力が求められることも課題の一つです。
ノーリツ社のRPA導入事例から、効率的な業務遂行と生産性向上の可能性が示されています。しかしながら、課題にも対処しながら、将来的な展望を見据えた取り組みが求められるでしょう。
アデコ株式会社
アデコ株式会社は、人材派遣やアウトソーシングなどのサービス事業を展開しています。その中でも、コールセンターの運営請負では、電話対応や事務処理などを行っています。
しかし、人員拡充が必要な場合には迅速な確保が難しい状況もあり、業務効率化が課題となっていました。さらに、常駐先での業務を行うため、システムやサーバー関連の変更が難しい状況でした。
この課題に対し、アデコ株式会社はPC1台から導入できるクライアント型のRPAを導入し、常駐先での環境を変えることなく業務効率化を実現しました。この取り組みは常駐先から高い評価を受け、先進事例として社内報でも取り上げられ、注目を集めています。
さらに、現在はAI OCRとの連携も検討されており、RPAの導入が業務効率化への新たな扉を開いた事例と言えます。
一方で、RPAの導入には課題も
RPA(Robotic Process Automation)は、ホワイトカラーの仕事をルーティンワークから解放する重要な技術となっています。RPAを導入することで、従業員は単調な作業から解放され、より価値のある業務に集中する時間を確保できます。
例えば、データ入力やファイリングなどの繰り返し作業は自動化され、人間が行う必要がなくなります。これにより、コスト削減や品質向上が実現できるだけでなく、従業員はより創造的で生産性の高い業務に取り組むことが可能になります。
RPAの活用によって、労働時間を短縮し、豊かな生活を送ることができる可能性があります。従業員がより効率的に仕事をこなすことができれば、その分個人の時間を有効活用することができるでしょう。例えば、趣味や家族との時間を大切にすることができ、仕事とプライベートのバランスが整い、生活の質が向上するかもしれません。
一方で、RPAの導入には課題も存在します。例えば、従業員のスキルアップや教育の必要性が挙げられます。RPAによって一部の業務が自動化されることで、新たなスキルや知識が求められるかもしれません。また、人間と機械の協調が必要となるため、適切なコミュニケーションや調整が重要となります。
結論として、RPAは日本の経済界で注目を集める技術であり、労働力不足や生産性向上の課題を解決する一助となる可能性があります。従業員の働き方改革や業務効率化に貢献し、今後ますます急成長が期待される産業分野となるでしょう。